【お話し会 サイン会】お知らせ
10月刊行 化学同人絵本
『女の子とロボット 心のおはなし』
ニール・ホスキンスさん来日記念
作者と訳者による読み聞かせ&スペシャルトークイベント
クリスマス・イブに女の子が語るのは…
心のなかの1000の部屋、そこにきらめく命のお話。
言葉では説明しきれない「心」のかたちを、
ロボットとのふしぎな出会いを通じて描いた絵本です。
この絵本に込められた想いや、翻訳の舞台裏なども、
たっぷりお話しいただきます。
終了後にはサイン会も!
【作家紹介】
ニール・ホスキンス
作家。バース・スパ大学でクリエイティブ・ライティングの修士号を取得。児童書出版社
WingedChariot Presswを設立し、ヨーロッパの優れた作品をイギリスに紹介するなど、長
年出版業界で活躍している。また、子どもたちの物語や創作を宇宙に届けるプロジェクト
SPACE CHARIOT を立ち上げた。これまでに「The Stinging Fly」「Ambit」「14
Magazine」などの文芸誌に小説を発表している。本書は初の絵本作品。
【訳者紹介】
野坂悦子
翻訳家。オランダ語、英語などから多くの児童書を翻訳している。訳書に『おおきいかさ
』(2023 年度えほん50 に選定)、『人形からとどいた手紙:ベルリンのカフカ』『ちい
さなかしこいオオカミ』(いずれも化学同人)、『どんぐり喰い』(福音館書店、日本翻
訳家協会・翻訳特別賞)、『わたしたちのふるさとパレスチナ』(ほるぷ出版)『モネの
庭』(アチェロ)など多数。絵本や紙芝居の創作も行っている。
【主催】
化学同人 @kagakudojin_picturebook
【協力】
きんだあらんど

〈書評〉イベントにご参加くださった書評家繁内理恵さんの記事をご紹介
『女の子とロボット 心のおはなし』 作者ニール・ホスキンスさん 翻訳家 野坂悦子さんによるトークイベント 京都きんだあらんど
〈翻訳家 野坂悦子さんの言葉〉
新刊の『女の子とロボット 心のおはなし』
(ニール・ホスキンス文、モニカ・ヴァイツェナーヴィチエネ絵、野坂悦子訳、化学同人)をお届けします。
この絵本を翻訳することになったのは、2年前のボローニャ・ブック・フェアで、初めて
会ったニールさんが、一枚の美しい絵葉書を渡してくれたからでした。
古き良きヨーロッパをエッセンスにしたような、誰かの夢の中に入り込んだような絵に、私がぼうっとみと
れていると、横にいたオランダの知人が「エツコはオランダ語と英語の翻訳者なの」と、
ニールさんに紹介してくれました。
「そんなに気に入ったのなら、あなたに本を送りましょう」そのひと言が始まりでした。
数年前、同じボローニャで、モニカ・ヴァイツェナーヴィチエネさんの絵と出会ったこ
とが、詩人のニールさんが絵本作家としてデビューするきっかけを作ったそうです。出版
されたThe Girl and the Robot Heartは、これまでイタリア語、スウェーデン語、韓国語、
ギリシャ語に翻訳され、日本でもこのたび上梓されました。翻訳期間中には、ミュンヘン
国際児童図書館が選出する「ホワイト・レイブンズ2025」の一冊になった、という朗報も
飛び込みました。
喜んで翻訳に取りかかったものの、立ち止まってしまう箇所がいくつかありました。い
ちばんの悩みは“heart”。「心」「こころ」「ココロ」「ハート」……考えたすえ、心臓の
形に似ている「心」を、ルビ付きで使うことに決めました。ロボットのセリフは、初稿で
はカタカナで表記していたのですが、「心」にひらがなのルビがつくと違和感が生じます。
それでセリフは全部ひらがなに変え、その代わり書体を工夫して、少しロボットらしさ
を出しました。
ニールさんの幸運は続き、たまたま邦訳が出る時期に、別の仕事の都合で、初めて日本
に来ることが決まったのです。先日、京都の書店「きんだあらんど」で開催されたトーク
イベントでは、こんな話をお聞きしました。
「作家として、私は子どもと大人、それぞれに向けて詩を書くことから始めました。詩
についての考えは、『絵本は目に見える詩(visual poem)だ』と言ったモーリス・センダック
と同意見です。この物語は詩のように短く、いわば、夜道を照らす?ヘッドライトの閃光
のようなもの、まぶしく輝いたかと思うと、消えてしまうものです。
私にとって、すべては窓から始まりました。ある夜、私が暮らしていたイタリアの小さ
な町で、窓から通りを眺めていたとき、驚いたことに、雪が降りだしたのです。
結果的には小さな場面がたくさんつながって、この物語ができあがりました。だからた
だのヘッドライトの閃光ではなく、車が夜中に角を曲がって丘を下って行くところ、そん
な旅に似ているかもしれません。」
この本に描かれた「心」が、どうか遠くまで、旅を続けられますように。
2026年10月吉日 野坂悦子